PEファンドの志望動機・志望理由の書き方|例文や重視される理由を徹底解説

PE(プライベート・エクイティ)ファンドへの転職では、高度なスキルや経験だけでなく、なぜPEを志望するのかという動機が非常に重視されます。特に近年は未経験からのチャレンジも増えており、志望動機の内容が選考の明暗を分けるケースも少なくありません。志望動機は単なる転職理由ではなく、自分のキャリア観や価値観を問われるものでもあります。しっかりと準備を重ねることで、他の候補者と差をつけることができます。

本記事では、志望動機の基本構成書き方のポイント職種別の例文、さらには英語面接の対策までを網羅的に解説します。PE業界への転職を目指す方はぜひ参考にしてください。



1. PEファンドの志望動機が重視される理由




PEファンドでは新卒採用はほとんどなく、中途採用が中心です。選考の過程では応募者のスキル・経験に加えて、なぜPE業界を志望するのか、なぜそのファンドを選んだのかという動機の深さが厳しく問われます。これはPEという業務特性上、企業の経営に深く関わる長期的な仕事であり、候補者の本気度や業界理解の度合いが、早期離職リスクの判断やカルチャーフィットの材料になるためです。


特に投資銀行、コンサルティングファーム、FASなど出身の候補者は、スキルセットが似通っているケースが多いため、志望動機の質が合否を分ける要因になることも珍しくありません。
他業界に比べて、PEファンドの選考では動機に一貫性と納得感が強く求められます。単なる転職理由の延長ではなく、自分のキャリアビジョンや価値観とどうつながっているかまで語れることが大切です。



2. PEファンド向け志望動機の書き方【基本構成とポイント】




志望動機は、単に思いを伝えるだけでは不十分です。PE業界ならではの選考基準を踏まえ、再現性と成果の観点から自分の強みをどう活かせるか、どう貢献できるかを具体的に伝える必要があります。さらに、志望動機はファンドのカルチャーや投資スタンスとの親和性を示す場でもあります。業界理解の深さや企業を見る目、自身のキャリアへの解像度が問われるため、表層的な内容では評価されにくい点に注意が必要です。

志望動機の構成


効果的な志望動機は、おおむね以下の3点で構成されます。

  1. 現職で得た知見・経験
    まず、自分がこれまでどのような業務を経験し、何を強みにしてきたかを簡潔に伝えます。成果や具体的な数値があると効果的です。PEファンドが特に注目するのは、「分析力」「案件推進力」「ステークホルダーとの調整力」「経営視点」などです。

  2. なぜPEでその経験を活かしたいと思ったか
    次に、その経験をなぜPEファンドというフィールドで活かしたいのか、転職動機の核心部分を述べます。ここでは、投資実行にとどまらず、経営支援(ハンズオン)への関与意欲や、価値創出に向き合いたいという姿勢があると、PEファンド側に好印象を与えます。

  3. 応募先ファンドとの親和性
    最後に、「なぜそのファンドなのか」という点を説明します。ファンドの投資スタンス(バイアウト中心、グロース投資あり、特定業界への強み)、バリューアップの方法(経営支援型かどうか)などと自分の志向・経験が合致している点を示すことで、納得感が増します。


この構成を踏まえることで、キャリアの蓄積と今後の志向性、そしてファンドとの相性が一貫した説得力を持って伝わるようになります。


再現性・成果ベースで伝えるための工夫


PEファンドでは、過去の成果だけでなく、それを別の文脈でも再現できるかという視点が重要視されます。そのため、志望動機でも「どんな環境でも結果を出せる人物」としての見せ方が求められます。例えば、業界理解に加え、リーダーシップや泥臭いハンズオン支援の経験などを盛り込むと良いでしょう。
また、抽象的な動機ではなく、案件レベルでの関心を語ることでよりリアルな志望動機になります。たとえば、地方の老舗メーカーへの投資と事業再生に関わりたいといった具体性があると評価されやすくなります。



避けるべきNGパターンとその理由


ありがちなNG例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 成長できそうだから、という抽象的な表現のみ

  • 経済的なリターンへの興味だけを強調

  • PEファンドの業務や投資スタイルへの理解が浅い

 
こうした表現は、ファーム側から「本当にこの仕事がやりたいのか」という疑念を抱かせる要因になりやすいです。あくまで自分の経験や価値観と、ファンドが目指す方向性との接点を語ることが重要です。

 

3. 【職種別】PEファンド志望動機の例文


ここでは出身業界別に、PEファンドへの転職を志す場合の志望動機の例文をご紹介します。いずれもテンプレートではなく、自身の経験に置き換えて応用できる内容になっています。

コンサル出身者向けの志望動機例


【例文】

戦略コンサルとして製造業クライアントの成長戦略支援に従事する中で、提言だけでなく実行フェーズまで関わることの重要性と難しさを実感してきました。PEファンドであれば、自らの意思で経営課題に踏み込み、長期的に企業価値の向上に貢献できると考え、キャリアの次のステージとして志望しています。特に御社が注力している地方中堅企業の支援領域に強く共感しており、自分の経験を投資先支援にも活かせると確信しています。

 

投資銀行・FAS出身者向けの志望動機例


【例文】

投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務を通じ、様々な企業再編に関与してきましたが、外部支援者の立場では、企業変革の本質的な部分には踏み込めないもどかしさを感じていました。PEファンドに身を置くことで、経営者と共に事業構造に踏み込む立場から、本質的なバリューアップに取り組みたいと考えています。マネジメント経験もあるため、経営課題に対する現場視点での理解と実行支援にも自信があります。

 

事業会社出身・未経験者向けの志望動機例


【例文】

事業会社の経営企画部門でM&Aや新規事業立ち上げを経験する中で、企業成長の可能性を資本と経営の両面から支援できるPE業界の仕事に強く関心を抱くようになりました。現場での課題設定から実行まで一貫して携わってきた経験を活かし、投資先企業の中長期的な成長支援に貢献したいと考えています。ファンド業務の実務経験はありませんが、投資案件の分析やPMIにも関与してきたため、実務へのキャッチアップも早いと自負しています。



4. 英語での志望動機の伝え方と対策


外資系ファンドやクロスボーダー案件を多く扱うファンドでは、英語での志望動機を問われる面接も少なくありません。対策としては、まず30秒/1分/2分での自己紹介を英語で用意することが基本となります。そのうえで、これまでの職務経験とPEを志望する理由、なぜそのファンドに魅力を感じているかという点を英語で語れるように準備しましょう。
ポイントは、暗記ではなく、自分の言葉で語れる状態にしておくことです。とくに案件紹介では、業界・自身の役割・得られた成果をワンセットで語れるようにしておくことが面接成功の鍵となります。


英語が苦手な場合でも、日常的に英語に触れる環境を作ることが有効です。ビジネス英会話スクールに通ったり、オンラインで模擬面接を実施することで、アウトプットの機会を増やすと効果的です。

 

5. PE転職で志望動機が評価されるための対策

 

志望動機は、自分の価値観やキャリアビジョンとファンドの特徴をどう接続するかがカギとなります。そのためには、表面的な会社情報だけでなく、ファンドの投資スタンスや支援スタイル、投資先の事例などを丁寧に調べることが重要です。企業研究を深めたうえで、なぜこのファンドでなければならないのかを自分の言葉で語れるようにしましょう。さらに、逆質問の内容とも整合性が取れていると、志望度の高さが自然に伝わります。たとえば、ファンドとしてどのような経営人材を理想と考えていますか?という質問ができれば、自分がその理想像に近づく意欲を持っていることを示すことができます。


PEファンドの選考では、思考力や成果、成長意欲といった総合的な姿勢が見られています。志望動機の内容にも、それが如実に表れることを意識して準備を進めましょう。



6. まとめ|志望動機は戦略的な自己PR


PEファンドへの転職は、選考難易度が非常に高く、求められるスキルや経験のハードルも決して低くはありません。しかしその分、得られるキャリアの成長機会やリターンも極めて大きく、まさにハイリスク・ハイリターンな挑戦といえるでしょう。だからこそ、入念な選考対策が成功の鍵を握ります。全体の選考プロセスを正しく理解した上で、自身の職歴やスキルに即した対策を講じ、志望動機や職務経歴書、面接準備まで抜かりなく進めていくことが重要です。

  • PEファンドの選考では、志望動機の深さと一貫性が評価

  • 志望動機は、キャリア経験・PE志望・ファンドとの相性の3点を軸に構成

  • 英語面接や逆質問まで見据えた準備が、全体の完成度を左右


また、実際に転職活動を始める際には、PE業界に強い転職エージェントのサポートを活用することで、選考対策や求人情報の精度が格段に高まります。ぜひ、本記事を参考にしながら、目指すファンドに合った自分だけのストーリーを磨き上げ、次のキャリアに向けた準備を始めてみてください。