ポストコンサル転職完全ガイド|バイサイド・事業会社・ファームtoファーム等の選択肢と年収を徹底解説

はじめに


コンサルタントとして一定の経験を積んだタイミングで多くの方が一度は「次のキャリア」について考えるようになります。いわゆる“ポストコンサル”として、どのような選択肢があり、どの環境で自分の力が最も活きるのか。本記事では、戦略・総合問わずコンサル出身者にとっての代表的な転職先であるPEファンド、事業会社、他ファームなどの特徴とリアルな給与水準を徹底的に解説します。


なぜコンサル出身者の転職が注目されているのか


コンサルタントは短期間で多様な業界・課題に触れ、問題解決力や論理的思考、資料作成力、クライアントコミュニケーションなどのスキルを磨くことができます。これらのスキルは多くの業界において「即戦力」として評価され、特にハイレベルなポジションでの採用が期待されやすいため、ポストコンサル転職は企業・求職者双方にとって関心が高まっています。


ポストコンサル転職のタイミング


多くの方が、複数のプロジェクトや役割を経験する中で、次なる挑戦を模索するようになります。上流フェーズのコンサルに飽きた、戦略を実行に移す現場に入りたい、自分のキャリア軸を再定義したい、など動機はさまざまです。ライフステージの変化(結婚・出産)や、昇進をきっかけに自身の将来像を見直す方も少なくありません。



ポストコンサル転職の主な選択肢とは?


ポストコンサルとしてのキャリア選択は、決して一様ではありません。近年では、PEファンドやスタートアップといったメジャーな選択肢だけでなく、VCや事業会社、さらには他のコンサルファームへの移動など、幅広い道が開かれています。

どの進路にもそれぞれの特徴や向き不向きがあり、求められるスキルセット、働き方、キャリアの伸び方、そして年収水準も大きく異なります。

特に重要なのは、自分が「どんな環境で何を実現したいのか」を明確にしたうえで、それにフィットする選択肢を検討することです。以下では、ポストコンサルの代表的な転職先とその特徴を、実務内容・期待される役割・年収の観点から紹介していきます。


PEファンド|資本と経営の両面から企業価値の向上に挑む


ポストコンサル転職の中でも、PEファンドは依然として高い人気を誇る選択肢です。投資銀行出身者が主要なプレーヤーであることに変わりはありませんが、近年ではコンサル出身者の採用も増えています。

ファンドによっては、戦略系コンサル出身者が投資担当としてフロントに立つケースも存在します。特にビジネスデューデリジェンス(BDD)や業界分析、成長戦略の仮説構築など、従来のコンサル経験が活かせる局面では、投資銀行出身者とは異なる視点で価値を発揮できます。

一方、ラージキャップファンドなどの規模が比較的大きいファンドでは、バリューアップ専任として投資先企業の経営改革に深く関与するポジションが設けられており、中期経営計画の策定、ターンアラウンド支援、経営陣との課題解決プロジェクトの推進など、いわば「戦略+実行」の両輪を担います。

PEファンドの特徴は、なんといっても提案で終わらない“当事者性”です。自らが投資した企業の成長に責任を持ち、継続的に関わるという立場は、コンサル時代とは全く異なる手触りを感じさせてくれます。実行フェーズに深く入り、成果創出まで携わることにやりがいを感じる方にとっては、非常にフィットする環境です。

求められるスキルとしては、仮説構築力やプロジェクトマネジメント、経営者との信頼関係構築力が中心です。ファイナンスやモデリングのスキルは入社後に補うことが可能な場合もありますが、最低限の財務理解と数字への耐性は前提とされます。

想定年収レンジは1,500万〜数億円。ファンドのステージや成果次第でキャリーが大きく上乗せされるケースもあり、金銭的なリターンの観点でも魅力的な選択肢です。


事業会社|経営企画・M&Aで“安定+挑戦”のキャリアを築く


事業会社へのポストコンサル転職は、戦略立案だけでなく実行まで伴走できる、「経営の内側」からの価値発揮を志向する方にとって有力な選択肢です。特に経営企画部門やM&A担当部門は、コンサル経験者の受け入れに積極的で、全社横断のアジェンダを推進できるポジションとして注目されています。

業務としては、中期経営計画の策定、全社戦略の立案、新規事業の評価と実行、IR資料の作成、子会社の統制やガバナンス支援などが中心となり、企業全体の意思決定や方向づけに直接関わる機会が豊富です。大手企業では海外拠点やグローバル経営との連携が求められることもあり、プロジェクトのスケールも大きくなります。

魅力のひとつは、経営意思決定の現場に継続的に関わりながら、会社を中から変えていける点です。プロジェクトベースで外から支援するコンサルティングファームとは異なり、内部の関係者と合意形成しながら、事業の根幹にアプローチしていく醍醐味があります。

一方で、スピード感や意思決定プロセスには独特のカルチャーがあり、関係者調整・社内政治・年功的な評価制度に戸惑う声も少なくありません。しかし、近年では経営直下の企画部門などを中心に、外部出身者の裁量や影響力が拡大しており、「変革の担い手」として期待されるポジションも増えています。

また、もともと事業会社に在籍してからコンサルに転職した人材が、再び事業会社へ戻るケースでは、カルチャー理解がある分、スムーズな活躍が見られることも多いです。いわば“循環型キャリア”として、長期的に経営と向き合いたい方にとっては非常に相性がよい環境といえるでしょう。

想定年収レンジは800万〜2,000万円程度。役職や会社の規模によって振れ幅はありますが、安定した報酬基盤とワークライフバランスの両立を求める方には魅力的な選択肢です。


スタートアップ|CxO候補として経営の最前線へ


ポストコンサルの選択肢として近年注目度が高まっているのが、スタートアップへの転職です。急成長を目指すスタートアップ企業では、外部の知見を取り込みながら経営スピードを維持・加速させる必要があるため、戦略系・総合系問わずコンサル出身者の採用ニーズが非常に高まっています。

典型的な配属ポジションとしては、CEO直下のBizDev、経営企画、事業開発、COO候補などが挙げられますが、実態としては明確な職種に収まりきらず、「一人戦略室」あるいは「戦略と執行のハイブリッド人材」として、少人数の経営チームとともにあらゆる課題に取り組むスタイルが一般的です。

業務の幅も非常に広く、戦略構築、新規事業の立ち上げ、資金調達、資本政策、KPI設計、採用戦略、業務フロー構築、オペレーション整備など、時にCxO的な役割まで任されるケースもあります。意思決定が早く、提案が即アクションに移される環境は、大企業やコンサルファームとは全く異なるスピード感を実感できるでしょう。

また、スタートアップの醍醐味は、ゼロから仕組みを作り、組織や事業がスケールしていく過程を当事者として経験できることにあります。再現性あるビジネスモデルを磨き、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)を見出し、スケールアップを果たすまでの過程は、経営人材としての器を大きく広げる絶好の機会となります。

報酬設計においては、現金報酬は大企業ほど高くない場合もありますが、ストックオプション(SO)による中長期的なリターン設計がなされていることが多く、リスクを取る分だけリターンも大きくなり得る構造です。

このような環境は、「若いうちに経営経験を積みたい」「事業をスケールさせるリアルを肌で感じたい」「意思決定の現場に常にいたい」といった志向のある方にとって、非常にフィットしやすい選択肢といえるでしょう。

想定年収レンジは、600万〜2,000万円+SO。企業フェーズや調達状況によっては、さらに柔軟な条件交渉がなされることもあります。

他のコンサルティングファーム|キャリアを突き詰める“深化”の選択肢


ポストコンサルの文脈で最も「キャリアにこだわる」選択肢のひとつが、他のコンサルティングファームへの転職です。いまの職場環境に大きな不満がなくとも、より理想のワークスタイルや専門性、キャリア展望を求めて、同業他社へ移るケースは少なくありません。


ファーム間の代表的な転職パターン

 

  • 戦略系 → ブティックファーム:より経営に深く入り込みたい、少数精鋭の環境で密度の高いプロジェクトを回したいというニーズから選ばれやすい選択肢です。特に、ターンアラウンドやM&A戦略、経営会議レベルでの意思決定支援に長けたファームにおいては、クライアントのCxOやオーナー経営者と並走する機会が多く、「提案だけでなく、結果が出るまで向き合う」姿勢が求められます。その分、昇進スピードや裁量の広さ、報酬インセンティブの設計も大手とは異なり、将来的な“プロ経営者”としてのキャリアを視野に入れやすい環境とも言えます。

  • 総合系 → 戦略系:「特定領域だけではなく、より広く経営の本質に迫る問いを扱いたい」「より専門性の高いプロジェクトに挑戦したい」と考える若手層に多く見られます。スキルの再定義、より厳しい環境での自分磨きを目的とした“キャリアの鍛錬”に近い選択です。

  • 日系 → 外資系:グローバル案件や明確な成果主義、報酬設計の違いに魅力を感じ、よりチャレンジングな環境を求めて外資に移る動きも見られます。逆に、外資→日系への転職も一定数存在しており、ワークライフバランスや長期的な育成体制、社内人脈形成のしやすさを評価しての決断です。

  • 戦略系 → 総合系:結婚や子育てといったライフステージの変化を背景に、稼働のコントロールや安定性、社内インフラの充実を重視して戦略系から総合系へ転職するケースもあります。専門性を活かしつつ、チーム型での協働や後輩育成の機会を増やすことで、次世代マネジメント志向にシフトする選択でもあります。

なぜファーム間の転職が起きるのか?

 

背景には、カルチャー適応の難しさ、求める案件のズレ、労働時間や昇進スピード、報酬の期待値など、ファームごとの違いに対する違和感が影響しています。タイトルが一時的に下がることもありますが、業務密度や裁量、やりたいテーマに近づくための必要投資として割り切る方も少なくありません。

とくにブティックファームへの移籍は、短期的な安定よりも、経営参画・価値貢献・影響力を重視する志向性とマッチしており、「数年後に経営者になりたい」「投資先のハンズオンに関わりたい」といったビジョンに直結するキャリアパスになり得ます。


想定年収レンジ


ファームの種類や規模、担当領域によって年収には大きな幅があります。以下に、代表的なファームタイプごとの想定年収レンジをまとめました。
*想定年収レンジは、ジュニアからパートナークラスまでを含みます。


ファームタイプ 年収レンジ
戦略系ファーム 1,200万〜1億円
総合系ファーム 900万〜5,000万円
ブティックファーム 2,000万〜1億円

 

ポストコンサル転職:自分らしい次の一歩を考えるために


コンサルタントとして培ってきた経験は、さまざまな業界や役割で高く評価されています。一方で、選択肢が豊富だからこそ、「自分にとって本当に合う場所はどこなのか」と迷うことも少なくありません。

転職を検討するタイミングは、“自分らしいキャリアの選択肢”を模索する絶好の機会です。視座を上げたい、経営に近づきたい、専門性を深めたい、意思決定に関与したいといった希望を見つめ直すことが、納得感のあるキャリア形成の第一歩につながります。


選ぶ前に「何を大切にするか」を考える


年収や企業の知名度に目を引かれがちですが、長期的に自分らしく働くためには、「自分の軸を持つこと」が何よりも重要です。たとえば、次のような問いを通じて、自分の価値観や適性を掘り下げてみることが効果的です。

  • どのようなタイプの人と働くと、自分の力を最大限に発揮できるか
  • どのような価値観の組織に、安心感や共感を覚えるか
  • どのような環境であれば、自発的に行動しやすいと感じるか


こうした内省的な問いかけは、ミスマッチのないキャリア選択を実現する手がかりになります。また、企業カルチャーや評価制度、チーム構成などを事前に確認しておくことによって、入社後の納得感や満足度を高めることができます。



転職を「成長の機会」に変えるために


転職活動は、自身のスキルや価値観を再認識する良い機会でもあります。余裕があれば、以下のような準備を通じて、入社後のキャッチアップをスムーズに進められるようにしておくと良いでしょう。

  • 気になる業界の専門用語やトレンドを事前に学んでおく
  • 書籍やインタビュー記事を通して、現場で働く人々の声を知る
  • OB訪問やカジュアル面談を通じて、リアルな業務内容やカルチャーを体感する


このような行動を積み重ねることで、「やりたいこと」と「求められること」の接点を見つけやすくなります。



転職エージェントは、“あなただけの答え”を一緒に見つけてくれる存在です


転職エージェントは、求人を紹介するだけではありません。あなた自身の強みや志向を言語化し、視野を広げることで、納得感のあるキャリア選択を後押しします。

  • 自分でも気づいていなかった強みや志向を言語化するサポートをする
  • 業界や企業の内情、選考事情などのリアルな情報を提供する
  • キャリアの棚卸しや意思決定のプロセスに寄り添い、丁寧に伴走する


このように、長期的な視点でキャリアを考えたい方にとって、信頼できるパートナーの存在はとても心強いものです。

そして何よりも、転職活動を通して「何を得たいのか」「どんな環境で力を発揮したいのか」といった自分自身の価値観や志向を明らかにすることが、ポストコンサルとしての次のステージを選ぶ上での最大の武器となります。


まとめ


転職は、「どこが良いか」ではなく「自分はどうありたいか」から始まります。同じキャリアでも、人によって意味や価値はまったく異なります。

周囲の評価や条件だけにとらわれず、「自分は何にワクワクするのか」「どんな未来を描きたいのか」を見つめることが、納得感あるキャリアを築く一歩となります。
情報を集め、可能性を広げた上で、最後に選ぶのはあなた自身です。あなたらしいキャリアのかたちを、ここからつくっていきましょう。


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