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ArchesトレンドコラムVol.1 ChatGPT警戒論が高まる中、官民の方針とは

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サマリー

  • 対話型AI「ChatGPT」を巡り、欧州を中心として警戒論が高まる中、日本政府はAI利活用に向けた取り組みを開始している。
  • メガバンクを始めとした国内大企業も、時間削減、生産性向上に繋がるとして次々とAIツールを活用していく方針を立てている。
  • 政府の方針やMUFGと同業他社のこうした動きは、他の日本の大手企業にも追随を促す可能性が高い。AIに関する規制等の動向を踏まえて、情報漏えいなどの防止のために社内の規程・ガイドラインを早急に見直す必要がある。

詳細

対話型AI「ChatGPT」を巡っては、英国が自国版LLM(大規模言語モデル)の開発に乗り出す一方、イタリアでは利用が一時的に禁止されるなど、国家レベルでも対応に大きな温度差が生じている。欧州を中心として警戒論が高まる中、日本ではどのような方針が取られているのか。

膨大な個人データの収集が法律に違反している疑いがあるとして「ChatGPT」の使用規制の動きが出ているイタリアに対し、日本政府は生成AIは経済成長や社会発展に向けて大きな可能性を秘める技術であるとして、内閣府を中心に関係省庁の実務者による検討チームを設ける方針が固められ、AI利活用に向けた取り組みを開始した。西村経済産業大臣は機密情報取り扱いに関するリスクへの対応策を進めつつ、将来的には国会答弁の対応などへ活用を検討していく考えをも示した。

10日に来日したオープンAIのサム・アルトマンCEOは、首相官邸で研究開発の拠点を日本にも設立し、政府との協力を通して日本語や日本文化に関するAI精度を高めたいとの方針を発表した。

三菱UFJフィナンシャル・グループは、今夏より稟議書作成や社内問い合わせ対応などの業務にチャットボットを活用し、煩雑な事務処理の手間を省くことで生産性向上を目指す方針を打ち出している。このチャットボットが社内で普及した後、2023年末までに日本マイクロソフトと提携し、会社の業務ニーズに合わせた独自のAIボットを開発する予定であるという。将来的には寄せられた質問にオンラインで回答するための技術として活用されることが考えられる。

三井住友フィナンシャルグループは、日本総合研究所(日本総研)、NEC、日本マイクロソフトと共同開発したAIアシスタントツール「SMBC-GPT」の本格的な導入に向けた試験運用を開始したと発表た。従業員がSMBC-GPTに質問をすることで、文章の作成、要約、翻訳、ソースコードの生成などをチャット形式で行なえるため、情報収集などにかかる時間の削減、生産性向上に繋がるとしている。今秋頃までに、三井住友銀行の全従業員にこのツールを展開する予定であるという。

政府の方針やMUFGと同業他社のこうした動きは、他の日本の大手企業にも追随を促す可能性が極めて高い。従業員の利用に際しては、AIの回答内容の正確性を従業員に判断させることを徹底するとともに、AIに関する規制等の動向を踏まえて、情報漏えいなどの防止のために社内の規程・ガイドラインを早急に見直す必要があるのだ。

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